MUSEUM IN THE BRAIN
友人でも知り合いでもないのに印象に残る人というのは誰しも多かれ少なかれいると思う。
通勤バスの中で、毎日車内の右側の席に座り外に向かって小さく手を振るおじさんがいる。
外を見るとマンションのベランダから奥さんと思しきパジャマ姿の女性が手を振っている。
高校時代、友人のコピーバンドのライブを観に行った。
そのとき一緒に出ていた他校のバンドのギターのメガネ男子が一曲目に入る直前「覚悟はいいか?俺はできてる!!!」とジョジョのブチャラティの名言を放った。
そのあと何の曲だったかは覚えていないが、とても一生懸命演奏していた。
その後違うイベントでも彼を目撃したが同じことを言っていた。
3年ほど前、千本北大路のカフェ町子で働いていた女の子が毎回赤いセーターにオーバーオールを着ていてとても可愛かった。毎回。
僕の中でオーバーオールちゃんと呼んでいた。
京都駅前のヨドバシカメラで半年に1回ペースでこれまで3回だけ買い物をしたことがあるのだが、あのだだっ広いレジで3回とも同じボブカットの女性スタッフが担当だった。
保証書といっしょにレシートも残してるから確実。ロイヤルストレートフラッシュ。
働いてる金融機関で窓口担当をしていた頃、毎日トイレ利用のためだけに来店するおばさんがいた。多分いまも来てる。
入口のすぐ左がトイレなのだが、窓口まで来て「お手洗い貸してください」と言うわけでもなく、目配せだけして入っていく。
「いや、何勝手に顔パスしとんねん。笑」と毎回思う。別にいいけど。
当たり前のことだけど、知らない人でもひとつのことを反復しているから印象に残っているのだと思う。
自分もそういう意味で知らない誰かの印象に残っているのだろうか、と考えた。
と同時に、確実に「何か青い服の人」として知らない誰かの脳内に焼き付いているような気がしてきたな、、