Adolescent Capsule
2009年夏。
Base Ball Bearの「BREEEEZE GIRL」リリース。
「ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:破」が公開。
1年間の海外留学に行っていた当時の彼女や友達が帰ってくる時期。
最後の学園祭では「雨に唄えば」の仮装をするため夏休みも学校に通い準備をしていた。
日焼けした腕に蛍光黄緑の安物の腕時計をつけて、Taggerのメッセンジャーバッグを背負って、ポロシャツを着ていて、俺は高校3年生で18歳だった。
思い出せることが少なくなってきた気がして何だか悲しい。
部活も引退して、予備校に行っても勉強なんかほとんどしてなくて、発表の場もないのにギターの練習をずっとしていて、卒アル制作のために写ルンですで写真を撮り溜めて、影で勉強しているらしい友達と遊んでいた。
友達3人とビデオインアメリカの白梅町店でCDを5枚ずつ借り、1人の友達のiTunesに全部突っ込んで同期させてもらうなどして新しい音楽をたくさん聴いていた。
そんな楽しい日々を過ごしていても襲ってくる十代の頃のあの何となく寂しい感じは一体何だったのか。
身の回りに望むものが揃っていても拭いきれない孤独感。
自分が大学生になって将来どんな仕事に就くかなんて全く想像も出来なかったし、何なら27歳くらいで死んだら格好いいんじゃないか?なんて考えていた。
みんなはどういう感情を持って日常を過ごしているのかずっと気になっていた。
今でも新しい音楽を聴くとき、どこかに寂しさを見出そうとしたり、ストーリーの中に当時の自分の影をイヤホンで探している気がする。
10年経ったいまは当時の自分では想像できないほどに楽しい時間を過ごしていて、それでも恋愛がうまくいかなかったり、まだ友達と新譜の感想を話し合ったり、それほど以前と変わらない生活を送っているような気もしていて、俺は社会人5年目で28歳になったよ。