little estate
土曜日にもかかわらず、職場へ向かうバスに揺られている。
1時間だけの休日出勤。
思いの外、高揚しているのはきっとどこか非日常を感じているからだろうか。
ゆとり教育が始まる前まで実施されていた土曜日の授業に似ている。
そういった特別感のようなものをいつだって求めている。
印象深い場所や、誰といるかで日常が思い出に変わると思う。
市民プールで食べるセブンティーンアイス。
神社で飲むファイブミニ。
ライブのSEで流れるスーパーカー。
職場の屋上で昼休みに読む小説。
スーツを着た幼馴染と地元に帰る金曜日。
ファインダー越しに覗く恋人。
クリームソーダ。
特別な瞬間を、ずっと特別だと感じ続けたいし、風化した物事を忘れない大人であり続けたい。
小さな高揚をいつまでも。
でも、風船を見ると今でもワクワクしてしまうのは僕が子供なだけかもしれないな。